今日は業界のあるシンポジウムに出ていた。会場に入ってあたりを見まわすと観客の中にどこかで見たことのある顔の人がいる。しかしどこで会ったのかもう思い出せない。シンポジウムはそっちのけでその人の顔を見つつ、必死に記憶の糸をたぐる。多分前の会社で一緒に働いたことのある人のように思える。彼ならここにいてもおかしくない。
休憩時間になって彼がやおらデジカメを取り出し会場の写真を撮り始めた。こちらにやってきて私と向き合う格好になりながら写真をとる。彼の胸に付けられた名刺の社名&氏名をチェックする。間違いない。
「**さん」
相手はビックリして私の顔を見る。そして彼も私を誰だか必死に思い出そうとしている。笑いながら私の胸に付けた名刺に顔を近付け、私の名前を最終確認し、私が何者になったのかを確認する。
「おお、どしたんやこんなところで!」
当時から何も変わっていないような会話が始まる。覚えていてくれた。嬉しいものだ。最後に会ってから8年以上経っていると思う。一緒に働いていたプロジェクトは終わり、彼はもう他の仕事をしており、私は会社をかわった。
しかしあの時に私が経験したことは、自分の社会人生活の基礎になっている。新人の私にある程度の責任を与えてくれ、国際的なプロジェクトに参加させてもらって、(というか叩きこまれて)辛いことも多かったし精神的に参ることもあったけど、これによって新入社員から社会人にさせてもらったと思う。30半ばを越えた今だから言えることではあるが。
「今度みんなで会って飲もう」と言って別れた。そう言われてまた嬉しかったし、是非そうしたいものだ。