私は図書館で借りて読んだので古い訳のものであり、写真に出てるのは最近鈴木晶という方が訳しなおしたものだ。サブタイトルも微妙に違ってはいるがまあ原本は同じなので大同小異であろう。
「死」についての大家、と言っていいであろうキューブラー・ロスの最初の作品、そして代表的な作品ということで読んでみた。題名からして衝撃的な本かな、と思ったけどさにあらず。非常に平易な筆致で淡々と死について語られている。
死を迎える患者のケアをどうすべきかという問題解決への糸口として、彼女達は瀕死の患者にインタビューを申し込む。その内容を類型的にまとめ、人が死に至るまでに通過する段階を明らかにする、というのがこの本の内容なのだが、医療の人だけではなく私のような一般ピープルに対しても教えられるところの多い本だと思った。
医者や近親者、周りの人が患者の迎えつつある死から目を背けてしまう気持ち、それが死にゆく人にとって最大の障害だと彼女はいう。しっかりと死に向き合い、周りの人もそれを理解しサポートすることによって、本人も周囲も安らかにその人の死を迎えられる、という。これは周りの人にとってはかなりパワーのいることだと思う。しかし自分もいつかはそういう作業をして死を迎えなければならないのだから、その作業を行うのは別に早くてもよいのだ。
確かに私も昔は死が怖かった。小学生のとき寝ながら月を見てて、突然自分もいつか死んでしまうのだと実感した時から、それに近づくのをできるだけ避けようとしていた。しかし自分の祖父母の死、友達の死、自分の腕の中で死んでいった愛猫、そういう「薄暗いベッドルームに宇宙の風がごうごうと吹く荘厳なドラマ」(訳者あとがきより)に触れる機会を通じ、理解できないまでも「死」に対する恐怖はかなり小さくなった。「生」と「死」は対立する概念ではなく隣り合うもの、と言えばいいのかなあ。
「死」について考えるには絶好の一冊だと思いました。新訳も読んでみようかな。
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