2015年10月4日日曜日

ビジネスマンの父より息子への30通の手紙 / G.キングスレイ ウォード


これはビジネス書の嚆矢、と言えるような昔からある定番の本。前に一度読んだような気もするが再読。前読んだ時にはさほど頭に残らなかったが、今読むといちいち身につまされる。若い時にどのようなな選択をするべきなのか、自分がそれを本とは180°違う方向に選択した経験を思い出すゆえにイタい。。ビジネス書ってあれこれ読むよりもこういう昔からある定番の本を何冊か繰り返し読んだほうがいいような気がする。
息子にも読んでほしいが、読んでくれるのかなあ。私が彼の年齢だったら絶対に読まないな(笑)

秀吉と利休 / 野上 弥生子

この小説は日本語の奥深さをじっくりと味わう純文学。語彙なども少し難解で簡単に読み進められる感じではないが、重厚な文体とテーマがよくあっている。利休と秀吉の微妙ながらも重大な関係性がじっくりと描かれる。直接のコミュニケーションを極小にして対話を行う、非常に日本人的な意思疎通。お腹いっぱいになれる本。

ホテル・ニューハンプシャー / ジョン・アーヴィング

サラバ! に書いてあった、優れた物語のお手本と言われた本。
確かに現代小説の見本みたいな筋書ではある。純文学的な小説でもなく、ライ麦畑でつかまえて、みたいな夢見る小説でもなく、その中間にあるような感じ。サラバ!もこれを下敷きにしているし、村上春樹の小説もこのスタイルから影響を少なからず受けているような気がする。ストーリーテリング、話の展開のしかたは非常に巧み。文庫本二冊だけどあまり苦にならず読み進めることができる。一度読んでおいて損はない、教科書的な小説。

2015年10月2日金曜日

サラバ! / 西 加奈子

今年読んだ本の中でこれが今のところベストですね。さすが本屋大賞。感動してちょっと涙が出ました。上巻ではよくわからない物語がいろんなところで展開して、どうなっちゃうんだろ、なんか平板だな、という印象なのですが、下巻に行くと一気にスピードアップして怒涛の結末を迎えてゆく。あ、この上巻のタメがあるから下巻のスピード感が活きるんだな、この人すごいストーリーテラーだな、と感心。
これはね、全人類読んだほうがいいと思います(笑)

苦役列車 / 西村 賢太

興味があって昔からこの人の本を読んでみたかった。なのでこの本と、小銭をかぞえる 、また対談集を西村賢太対話集薄明鬼語―西村賢太対談集 の二冊、計四冊読んでみた。 この人の文学に対する姿勢、方法論は好きかも。文章を書くというテクニック、戦略において素晴らしい人だと思う。
そして、彼の作品で出てくる彼の思考回路はちょっと私には生理的に合わないなあと思った。そこも彼一流の計算で私がそう思うように操作されているのかもしれないけど。侮りがたいジャンルですね。私小説。

ひさしぶりのガンプラ作り

ヒマだったので少し前に買ってあったHGUC 1/144 MS-06 量産型ザク を作ってみた。ガンプラの進化に驚嘆。私がリアルタイムでハマっていた小学生、中学生のころは(朝からさんざん並んで買っても)部品を接着剤でくっつけなきゃいけなかったし、合わせ目も結構いい加減だった。さらにシンナー臭いプラカラーをよっぽど気をつけてペタペタ塗らないとそれっぽく見えなかったし、可動部分もほとんどなくポーズを取らせようとするとうまく立つことができず、少し力を入れるとすぐに折れたりしていた。
 しかしこのキット、30年前から2倍の値段にしかなっていないのに接着剤はなくてもパチンパチンと気持ちよくハマるし、合わせ目はきれいだし、パーツが既に色分けされているので色を全然塗らなくてもそれっぽく、っていうか下手に塗らないほうがきれいにできる。関節もたくさんブッシュが入っていてグリグリ動きつつ自立する。だっちゅーの!のポーズでもできる。すごい(笑)
2時間くらいで組めてしまうのでオトーサンの暇つぶしには最適。

フランス人は10着しか服を持たない~パリで学んだ“暮らしの質"を高める秘訣~ / ジェニファー・L・スコット





少し前にはやった本だけど、大人気なのもわかるような気がした。女子ならず男子も一度は読んでおいていい本かもしれない。本当の豊かさ、について非常に平易な言葉で書かれている本だと思う。

バンドについて。

もうバンドをコンスタントにするようになって何年が経つだろう。社会人になってバンドをやっていない時期のほうが少なかったからもう20年以上やっていることになる。バンドをやっている状態がかなり定常。
少し前に長い付き合いのバンド友だちと一緒に車に乗って帰ることがあって、バンドについていろいろ話した。なぜバンドをするのか、なぜバンドはうまくいかないのか、そしてどういうときにバンドを新しく作ったり、また解散したりするべきなのか。
今は底の時期を抜けて定常状態にあるのだけれど、何年か前はバンドのことで人知れず(笑)かなり悩んでいた。そこで誰にも相談できず悩んでいたこと、そして答えを出したことに対して、車の中で参考になる意見をたくさんもらえた。すごく腹落ちした。
今まで彼とは何回飲んだか分からないくらい顔を合わせて飲んでいるけれど、こんな話をしたのは初めてだった。いつも飲み歩いている人、というイメージとは裏腹に、かなり戦略的に、そして真剣に音楽について考えていた。

私ももう少し考えよう。

2015年8月24日月曜日

秋の始まり

涼しくなってきた。夜も過ごしやすい。せっかく昨日冷蔵庫新調してバリバリ氷作れるのに。夏もそろそろ終わりなのかな。

2015年8月23日日曜日

冷蔵庫

結婚した時に買って17年使った冷蔵庫を買い替え、今日届けてもらった。大きさ1.5倍、電気代は1/3くらい。なんだか感慨深かった。あと自分の人生で何回冷蔵庫を買うんだろうなあ。

2015年7月20日月曜日

ベルサイユのばら / 池田理代子

私の女性に対する神格化を木端微塵にしていただきました。なぜこうなるの、というおぞましいまでのマゾヒスティックな設定。こんだけ不幸が重なるっつーか要は叶わぬ恋のオンパレード。こういうの女性は好きなんだろうねー。女子だけの部活がものすごい規律が厳しいこと、タカラヅカファンの行動に一糸乱れぬ統率が取れていること、私昔から不思議だったのですが、この辺りに解決の鍵があるような気がしますな。もう少し深く掘っていきますかね。次は「あさきゆめみし」かな(笑)

千利休―無言の前衛 / 赤瀬川 原平

これは興味深かった。前衛、という言葉の定義を巡って利休を例に引きつつ思考を深めてゆく本。哲学ではなくて生き方、かな。いろんな人がこの本を読んだらそれぞれ得るところがあると思う。利休という人についてかなり興味を持った。この人が脚本を書いたという映画の原作、「秀吉と利休」も読んでみようかな。

ゼロ・トゥ・ワン―君はゼロから何を生み出せるか / ピーター・ティール

ベストセラーらしいけどあんまり響かなかったなあ。書かれているテーマがあいまい。ま、そうなるわな、以上の驚きがなかった。
なんて一刀両断してしまっていいのかなあ。
ま、いいか(笑)

日本の弓術 / オイゲン ヘリゲル

岩波文庫の中でもっとも短い本らしい(笑)
ドイツ人が弓術を習って、ほぼ日本人(の中でも極めた人ね)と同じ精神世界に入っていっている。言葉が古いし、何しろここに収められている彼の文章は非常に短いので、彼の日本滞在時、また弓術の稽古の時に通訳を務めた人の解説によって類推するしかないのだけれど。もう少し長い文章でもよかったかなあ。

悼む人 / 天童 荒太

この本はよかった。死生観というものをしっかり扱っているし、それを物語の中にうまく組み込んで大きな幅を物語に持たせている。読み進めていってもこれからどう展開するのか全く見当がつかない、この人の筆力ってハンパないなあ。あとがきを読むとかなりこの作品に入れ込んでいたらしい。それくらいしないとここまでの物語は紡げないんだろうなあ。オススメ。


2015年6月26日金曜日

アミターバ 無量光明 / 玄侑宗久

臨死体験について克明に描かれた本。どこまでが創作でどこまでが誰かの体験談を再構成したものなのか、境界はよくわからないが、全体としてよくできていると思う。死にゆく者の視点から見るとこのようなプロセスを辿るんだろうな、ということをうまくイメージできる本。それがあっているかどうかはやってみないとわからないけど(笑)

2015年6月23日火曜日

絵と言葉の一研究 「わかりやすい」デザインを考える / 寄藤文平

創作者が創作することの意味、について説明をしてくれている本。絵と言葉の関係についてはなるほどなーと納得。これはクリエイティブな人だけではなく、プレゼンなんかを作るときにも活かせるなあと思った。
本の装丁のアイデアも類型化してあって面白いのだが、ちょっと私には例示が多すぎて散漫な印象。
創作者がどのように頭を動かしているのか、プロセスを辿るという意味では興味深い本。1時間くらいで読み終わることができるし。

僕の死に方 エンディングダイアリー500日 / 金子 哲雄

この本の作者のように、死ぬ当日まで死に向き合い、仕事をできるだろうか。楽しい仕事だったからできたのだろう。ということは、人はいつ死んじゃうかわからないのだから、楽しい仕事をする、そうでなくとも仕事は楽しくしなければいけない、ということだ。
また、彼の性向が過去に向かわず未来に向かうことだったことも大きく影響しているのだろう。生に執着することなく未来の死にしっかり向き合うことで、自分の死を受け入れられるのかもしれない。
 そして、結婚式は自分のやりたいことをさんざんプロデュースして、お葬式は他人任せではイカン!という著者の主張には同感。私も相当結婚式でやらかしたから、お葬式もやらかさないとね。
まだまだ、と言ってると遅くなってしまう。そうしないうちに考え始めないと。

 

2015年6月21日日曜日

21世紀の資本 / トマ・ピケティ

いやーやっと読めました。世のインテリはこれをさらっと読むのかあ、尊敬に値するなあ。
私なんか同じ文章を何回か読まないと理解できないし、そうしているうちに眠くなってくるし、悪いことにこの本の厚さが枕にするのにちょうどよい(笑)大変でした。
書いてあることは下馬評通り。この本の凄さは古今東西の様々な国、分野にわたる統計を駆使し、データから理論を展開している点。そのため結論に至るまで大量の資料を説明する必要があり、これがこの本を長く、わかりにくくしています。また、訳が何だか硬くない?フランス人的?なアイロニー、暗喩があちこちに出てくるのですが、角ばった文体と相まって理解がなかなか進まない。ココ笑うところ?みたいな。原文はこんなに硬いのかな。フランス語は皆目わからないし、英語で読んでも語彙が理解できないと思うけど。
でも、これは色んな意味で読んでおくべき本。21世紀は彼が提案する方向に進むのか。それとも。。。

さよならもいわずに / 上野 顕太郎

妻を亡くした漫画家のほぼノンフィクション。かなり荒削りだったり大胆な表現もあり、それが彼の内面の整理ついてない状態をリアルに表現できているような。このような漫画が本として流通している現代って、結構いい社会なのかもなあと思った。
自分が同じような状況に置かれたとき、自分は同様に他者への表現に向かえるだろうか。歌を作ったりするのかなあ。ムリだろうなあ(笑)

定本納棺夫日記 / 青木 新門

映画「おくりびと」の原作。おくりびとは観てないけど、これはモッくん感動するわなあ。彼は死者の視点から生者の世界を見ることもできるようになっている。その視点から見た世の中はかなり我々とは違って見えるんだろうなあ。というかその視点、1度持ってみたい。ま、急がなくてもそのうち絶対持てるのだが(笑)
原作部分が1/3、彼の仏教(親鸞)に関する解釈が1/3、創作を志していた彼の創作が1/3。親鸞解釈はかなり独自で少し難しいかもだけど私には納得感あり。創作は少なくしてもう少し納棺夫のエピソードを読みたかったかな。


ひとりぼっちを笑うな / 蛭子能収

蛭子さんの視点、考え方って面白い。そして、共感する部分もある一方なんか違うなあ、と思う部分もある。
そういうところを含めて蛭子さんは自分に誠実にこの本に向き合っていることが感じられる。それが蛭子さんの取り得る唯一の選択肢なのかもしれないけど。

2015年6月18日木曜日

ムスメの疑問

娘がおもむろに、ランチパック好きなんだけどあのパンとパンをくっつけるのはどうやっているんだろう?と質問。押し付けてもくっつかないし、接着剤も使えないだろうし、と。
家族会議で討論してみたがよくわからず。ググってみればいいんだ!と調べると本家ホームページが答えていた。

ランチパックって不思議!?
ランチパックの端はどうしてくっついているのか、疑問に感じたことはありますか。特別な粘着材等を使ったり熱を加えているわけではありません。実は、専用の機械で2枚のパン生地の端の部分のみ圧力を掛けて押しつけているだけです。この圧力が強すぎても、弱すぎてもうまくくっつきません。ソフトなパン生地を傷つけることなく、絶妙のバランスでくっつけるのがポイントです。

そうなんだ。ここは安全なプロセスなのね。


https://www.yamazakipan.co.jp/brand/02_03.html

2015年6月17日水曜日

18歳から選挙権

カミさんとも話したんだけど、何故この法案を今の政権与党が通す必要があるのだろうか。
若い人に大きな支持母体があるようにも見えないし、むしろお年寄りと組織票で勝負してる政党が何故対極の人にわざわざ選挙権を与えるのか。
何か得るものがないと政治家は動かないはずなんだが、何なんだろう?
成人年齢を引き下げてその上で徴兵制に持ち込むのかな?それはあり得そう。

2015年6月10日水曜日

失敗の本質 - 日本軍の組織論的研究

名著ですね。でも読めば読むほど日本人のダークサイドをまざまざと見せつけられ、暗い気持ちになります。
戦車戦闘の時代になっても白兵銃剣突撃主義から抜け出せない陸軍、真珠湾で航空戦略を成功させながら日本海海戦に端を発する艦隊決戦を志向し、大和、武蔵を作ってもうまく運用できない海軍、補給が上手くいかないから精神主義に走り、戦闘どころか餓死者を大量に出してしまうなど、目を覆いたくなるような事例が満載です。
このような志向性を持つ国民なのだ、としっかり理解した上で、同じ轍を踏まないように意思決定を行うべきですね。とてもためになりました。
ただ、先の大戦の分析から現在への投影を行う巻末の提言は、分量も少なく尻切れとんぼ感がありました。この部分をみんなはもっと読みたかったと思うんだけど。

2015年5月26日火曜日

資本主義の終焉と歴史の危機/ 水野和夫

この本はすごい。ピケティほどの精緻な分析は新書なので無理だとしても、資本主義の過去から現在に至る分析が鮮やか。素晴らしい。植民地と格差社会を同列に論じるところも腹落ち感ハンパない。
ゼロ成長時代は以前にもあり、日本は世界に先駆けてそこに再び入ろうとしているのだから、今までの成長必須モデルではなく、ゼロ成長ベースの経済を、という主張にも激しく納得。
沢山の人にこの本を読んでもらい、その上で感想を聞きたい。空論と嗤うか、はたと膝を打つか。

2015年5月8日金曜日

おばさん

電車降りるときに私の前にずんぐりむっくりのおばさんが立ち、ヨタヨタしながら電車を降りた。抜き去るべくエスカレーターではなく階段へ歩みを進めると彼女もヨタヨタそちらの方へ。「なんでやねん!」と思いつつスリップストリームに入り、階段を登り始めると、なぜか私が引き離される。はっ、速いっ!

おばさま、おみそれいたしました。


2015年5月6日水曜日

終わりなき危機 / ヘレン・カルティゴット監修

どういう本なのかなあ、と思って読んでみたが、原発反対派の中でも冷静な議論をしている人の説がたくさん載っていてためになった。福島の原発は3.11後どのような状態にあり、今どのような状況で、人類や地球にはどのようなインパクトやリスクがあるのか、冷静にまとめているな、と感じた。安心できる状況ではないが。

2015年5月5日火曜日

いつも「時間がない」あなたに 欠乏の行動経済学 / センディル・ムッライナタン / エルダー・シャフィール

これはすごい本。忙しい人に時間がないのはなぜか、貧しい人がさらに陥る貧困とも絡めて行動経済学という分野から考察を加えてゆく。欠乏が起こってしまうこと、さらにそれに対応する処理能力が低くなっている状況、この二つが合わさったときに長期的な観点からの考察をトンネルして短期的・刹那的な解決策に頼り、結果長期的に負債や未完の仕事を増大させてゆく、というプロセスが描かれる。なるほどなー。
これは皆さん読んだほうがいい本だと思います。時間の使い方、優先順位のつけ方など、日々の暮らしが変わりそう。目からうろこです。