2015年6月26日金曜日

アミターバ 無量光明 / 玄侑宗久

臨死体験について克明に描かれた本。どこまでが創作でどこまでが誰かの体験談を再構成したものなのか、境界はよくわからないが、全体としてよくできていると思う。死にゆく者の視点から見るとこのようなプロセスを辿るんだろうな、ということをうまくイメージできる本。それがあっているかどうかはやってみないとわからないけど(笑)

2015年6月23日火曜日

絵と言葉の一研究 「わかりやすい」デザインを考える / 寄藤文平

創作者が創作することの意味、について説明をしてくれている本。絵と言葉の関係についてはなるほどなーと納得。これはクリエイティブな人だけではなく、プレゼンなんかを作るときにも活かせるなあと思った。
本の装丁のアイデアも類型化してあって面白いのだが、ちょっと私には例示が多すぎて散漫な印象。
創作者がどのように頭を動かしているのか、プロセスを辿るという意味では興味深い本。1時間くらいで読み終わることができるし。

僕の死に方 エンディングダイアリー500日 / 金子 哲雄

この本の作者のように、死ぬ当日まで死に向き合い、仕事をできるだろうか。楽しい仕事だったからできたのだろう。ということは、人はいつ死んじゃうかわからないのだから、楽しい仕事をする、そうでなくとも仕事は楽しくしなければいけない、ということだ。
また、彼の性向が過去に向かわず未来に向かうことだったことも大きく影響しているのだろう。生に執着することなく未来の死にしっかり向き合うことで、自分の死を受け入れられるのかもしれない。
 そして、結婚式は自分のやりたいことをさんざんプロデュースして、お葬式は他人任せではイカン!という著者の主張には同感。私も相当結婚式でやらかしたから、お葬式もやらかさないとね。
まだまだ、と言ってると遅くなってしまう。そうしないうちに考え始めないと。

 

2015年6月21日日曜日

21世紀の資本 / トマ・ピケティ

いやーやっと読めました。世のインテリはこれをさらっと読むのかあ、尊敬に値するなあ。
私なんか同じ文章を何回か読まないと理解できないし、そうしているうちに眠くなってくるし、悪いことにこの本の厚さが枕にするのにちょうどよい(笑)大変でした。
書いてあることは下馬評通り。この本の凄さは古今東西の様々な国、分野にわたる統計を駆使し、データから理論を展開している点。そのため結論に至るまで大量の資料を説明する必要があり、これがこの本を長く、わかりにくくしています。また、訳が何だか硬くない?フランス人的?なアイロニー、暗喩があちこちに出てくるのですが、角ばった文体と相まって理解がなかなか進まない。ココ笑うところ?みたいな。原文はこんなに硬いのかな。フランス語は皆目わからないし、英語で読んでも語彙が理解できないと思うけど。
でも、これは色んな意味で読んでおくべき本。21世紀は彼が提案する方向に進むのか。それとも。。。

さよならもいわずに / 上野 顕太郎

妻を亡くした漫画家のほぼノンフィクション。かなり荒削りだったり大胆な表現もあり、それが彼の内面の整理ついてない状態をリアルに表現できているような。このような漫画が本として流通している現代って、結構いい社会なのかもなあと思った。
自分が同じような状況に置かれたとき、自分は同様に他者への表現に向かえるだろうか。歌を作ったりするのかなあ。ムリだろうなあ(笑)

定本納棺夫日記 / 青木 新門

映画「おくりびと」の原作。おくりびとは観てないけど、これはモッくん感動するわなあ。彼は死者の視点から生者の世界を見ることもできるようになっている。その視点から見た世の中はかなり我々とは違って見えるんだろうなあ。というかその視点、1度持ってみたい。ま、急がなくてもそのうち絶対持てるのだが(笑)
原作部分が1/3、彼の仏教(親鸞)に関する解釈が1/3、創作を志していた彼の創作が1/3。親鸞解釈はかなり独自で少し難しいかもだけど私には納得感あり。創作は少なくしてもう少し納棺夫のエピソードを読みたかったかな。


ひとりぼっちを笑うな / 蛭子能収

蛭子さんの視点、考え方って面白い。そして、共感する部分もある一方なんか違うなあ、と思う部分もある。
そういうところを含めて蛭子さんは自分に誠実にこの本に向き合っていることが感じられる。それが蛭子さんの取り得る唯一の選択肢なのかもしれないけど。

2015年6月18日木曜日

ムスメの疑問

娘がおもむろに、ランチパック好きなんだけどあのパンとパンをくっつけるのはどうやっているんだろう?と質問。押し付けてもくっつかないし、接着剤も使えないだろうし、と。
家族会議で討論してみたがよくわからず。ググってみればいいんだ!と調べると本家ホームページが答えていた。

ランチパックって不思議!?
ランチパックの端はどうしてくっついているのか、疑問に感じたことはありますか。特別な粘着材等を使ったり熱を加えているわけではありません。実は、専用の機械で2枚のパン生地の端の部分のみ圧力を掛けて押しつけているだけです。この圧力が強すぎても、弱すぎてもうまくくっつきません。ソフトなパン生地を傷つけることなく、絶妙のバランスでくっつけるのがポイントです。

そうなんだ。ここは安全なプロセスなのね。


https://www.yamazakipan.co.jp/brand/02_03.html

2015年6月17日水曜日

18歳から選挙権

カミさんとも話したんだけど、何故この法案を今の政権与党が通す必要があるのだろうか。
若い人に大きな支持母体があるようにも見えないし、むしろお年寄りと組織票で勝負してる政党が何故対極の人にわざわざ選挙権を与えるのか。
何か得るものがないと政治家は動かないはずなんだが、何なんだろう?
成人年齢を引き下げてその上で徴兵制に持ち込むのかな?それはあり得そう。

2015年6月10日水曜日

失敗の本質 - 日本軍の組織論的研究

名著ですね。でも読めば読むほど日本人のダークサイドをまざまざと見せつけられ、暗い気持ちになります。
戦車戦闘の時代になっても白兵銃剣突撃主義から抜け出せない陸軍、真珠湾で航空戦略を成功させながら日本海海戦に端を発する艦隊決戦を志向し、大和、武蔵を作ってもうまく運用できない海軍、補給が上手くいかないから精神主義に走り、戦闘どころか餓死者を大量に出してしまうなど、目を覆いたくなるような事例が満載です。
このような志向性を持つ国民なのだ、としっかり理解した上で、同じ轍を踏まないように意思決定を行うべきですね。とてもためになりました。
ただ、先の大戦の分析から現在への投影を行う巻末の提言は、分量も少なく尻切れとんぼ感がありました。この部分をみんなはもっと読みたかったと思うんだけど。