2008年9月3日水曜日

「路上」か「オン・ザ・ロード」か



路上 (河出文庫 505A)オン・ザ・ロード (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-1)


やはり新訳も読んでみたくなり「オン・ザ・ロード」を今日手に入れた。さすが世界文学全集だけあってその分厚さにまたおののいたが、読むのが楽しみだ。付録みたいな感じで池澤夏樹の短いコラムがついていたので、今日はそれだけ読んだ。なぜ新訳にした際に「路上」ではなく「オン・ザ・ロード」に改題したのかが書いてあった。彼曰く「路上」では一か所にとどまっている感じになり、英語の"On the road"にある、とどまるのではなくどこかへ移動する、移動し続けるという意味が入らなくなってしまうからだそうだ。


なるほど。思い当たるなあ。私がディーンやサルの年齢の時は、確かに「オン・ザ・ロード」だった。自分の立っている場所ではないところにここよりよい場所、多分真実の場所があるのだろうと思い物理的にも精神的にも動き続けていた。自転車で家から見える山の向こうに走って行ったり、原付の免許を取って隣の隣の街の女の子にスクーターで会いに行ったり、バイクにテントを積んで日本中走って回ったり、バックパックを担いで海外を見て回ったり。


その中で私もディーンみたいな「死ぬまで路上」な人に会った。私にとっては憧れの人のはずなのだが、私は「こうはなりたくない」と強く思った。


自分が見たことのない場所を見れば見るほど真実の場所からは遠ざかり、自分の中で考えるべき問題が増え、このプロセスで真実の場所にたどり着ける見込みはどんどん少なくなるように感じた。


また、カミさん、子供と家族ができ、自分の立っている場所が一番よい、と感じられるようになった。


なので、今の私は「オン・ザ・ロード」ではない。


去年バイクにガソリン入れたのは2回なことからも自明(笑)





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