2008年10月22日水曜日

再び父子家庭 第一夜



第二子産休、育休、育児時短がすべて終了し、ついに今日からカミさんの夜勤が再開された。カミさんも緊張しているが私も緊張する。我が家を日米安保条約のように守っていたおっぱいの傘は今日から存在しないのだ。対赤ちゃん用核兵器武装していない我が軍は徒手空拳で凶暴なぐずり攻撃に立ち向かうしかないのだ。


少し早めに会社を出て保育園に迎えに行くと保母さん保父さんに「今日から大変だね」と激励される。「帰りに子供医者に連れて行くんでしょ?保育園のノートに書いてあったよ」と言われるがそのような連絡は私は受け取っていない。すでに前線は指揮系統が混乱している模様。少し風邪気味でノドがゼロゼロしている娘を連れて一旦家へ戻り、保険証などを持って医者へ向かう。昨日より具合がよくなっているらしく、鼻水を吸ってもらい薬剤吸入を行う。鼻水を吸われると娘号泣。ものすごく怒っている。薬剤吸入をするとゼロゼロがかなり取れ、今夜に向けて良い兆候とほくそ笑む。


家に帰ると息子も帰宅。緊張したカミさんが山のような料理を作ってくれていたおかげでご飯は問題なく終了。ちょっといい感じで食後の時間を楽しみ、これならいけるな、と安堵。風呂を入れて3人で入る。娘もおとなしくしている。しかしだんだん眠くなってきたのかぐずり攻撃が開始される。このまま寝てくれればと愚息を残し風呂場からスクランブル発進、寝巻に着替えて抱っこする。眠りそうになるのだが様子が違うことに気づき泣き始める。普段おっぱいなしで私が抱っこしていると寝こともあるので今日もそうなるだろうと期待していたのだがさにあらず。泣きはどんどん激しくなり炎上してしまった。抱っこしてても涙と鼻水で顔はぐしゃぐしゃ、体はエビぞったり降りようとしたり暴れ回る。


やはり間接的な外交努力では紛争を解決できず、核兵器しか抑止力にはなりえないのか。仕方がない。禁断の冷蔵庫を開ける。


そこには一発だけ、今日の午後に抽出された母乳プルトニウム60ccの核弾頭が鈍い色の哺乳瓶ミサイルに入って冷蔵保存されている。重水の入った鍋をコンロにかけて加熱し、そこにミサイルを入れてプルトニウムを核分裂の温度まで慎重に加熱する。加熱しすぎると臨界を迎え、ミサイルは赤子に不可逆なダメージを与え、なおかつ制御不能にしてしまうのだ。


適温になったところを見計らって重水からミサイルを取り出し、阿鼻叫喚の娘を発射台に寝かせる。そこでミサイルを彼女の口めがけて発射。この高度な核兵器は赤子を沈黙させ、音もなく赤子の体内に浸透してゆく。これで娘を沈黙させることができればよいのだが。。60ccでは少し少ないかも。。。期待をこめて様子を見守る。


敵はあっという間に飲み干し、「もうないのかゴルァ!」と前にも増して烈火の如く泣き始める。


「おまえわがままだぞ」と横で寝ていて入眠を邪魔された息子が一言。まあそうなんですけどまだ一歳児ですから。。。


ううむ困った。冷凍庫を見るが冷凍母乳は底をつき、刀折れ矢尽きた感じ。戦局は圧倒的に不利。


冷蔵庫の中に麦茶が冷えているのを発見。これをグラスに少し入れて電子加速器レンジで加熱。温まった麦茶と冷たいままの麦茶を哺乳瓶ミサイルに注入し、人間遠心分離機で一様に混合させる。核弾頭ではないが150cc、十分な量の巡航ミサイルが完成。これがダメなら玉砕朝まで抱っこコースだ。。


発射。敵は一気に130ccくらい飲むが、その後は遊び始める。お、劣勢を挽回できたか?しかし抱っこするとまた泣き始める。少し泣き方がおとなしくなってきた。やはりエビぞるのでもしや、と思い布団に寝かせてみる。するとウニウニ動くものの眠りに落ちる兆候が見られる!今だ!背中トントン攻撃!





2分後、彼女は完全に睡眠に入った。終戦。


勝利したものの汚れた食器と洗濯物の山の荒れ野原に立ち尽くすのであった。





5 件のコメント:

  1. 無防備は通用しませんか…

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  2. ゆんたザウルス2008年10月26日 22:09

    あひあひ。父親ってたいへんなんですねえ。原子力空母より。

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  3. あっはっは!お疲れ様~
    何年か前の自分の姿を思い出しました。まぁ、私にはおっぱいがありましたが…。
    それにしても、大変な育児を一緒にやってくれる旦那がいて、奥さんうらやましいわ~。

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  4. mash様> 残念ながらこの種の紛争地域では無防備は育児放棄とみなされ、民生委員の出動、引いては児童虐待の疑いによる国際家庭裁判所での審理等泥沼化が予想されます。部隊を送り込んで乳を流す具体的な貢献が求められます。。

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  5. ゆんたザウルスさま> 世界各地の紛争地域にほぼ実弾なしで展開し、昼夜分かたず平和維持活動を行っている傭父部隊の存在は意外に知られておりません。彼らこそが社会で闘う女性の銃後の守りなのでござります。。

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